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2015 年「フラッシュ暗算日本一」 〜 浅野選手とお話ししてみました

その 2. 全日本全種目入賞の快挙 〜 浅野選手の文明開化

【ma-.】ところで, 今回の大会ではフラッシュ暗算以外の種目についても, 全種目入賞していました。おめでとうございます。


【浅野】ありがとうございます。最後の読上は全種目入賞できるかもというプレッシャーから少し手が震えました。


【ma-.】これまでの成績と比べてどうだったのでしょうか。


【浅野】まずフラッシュは平成 24 年から昨年まで 4 位→ 6 位→ 2 位ときていましたので, 優勝できて何よりです。

 総合は過去最高が昨年の 1,410 点, 今回の 1,420 点は最高点ということにはなりますが, 練習では平均 1,440 〜 1,450 点くらいでしたので残念でした。

優勝盾

フラッシュ暗算優勝の盾

 読上暗算は過去 1 度しか入賞したことがなく, その時は 5 位, 桁数は 13 桁でした。今回は 6 位でひとつ順位は下がりましたが桁数は 14 桁ということでベストを出せたと思います。何しろ 15 口ですからね。

 読上は平成 23 年から昨年まで 7 位→ 5 位→ 6 位→ 4位ときていますが正直あまり順位にはこだわっていません。高 2 の時から毎年優勝を狙ってはいるんですがね……ぶっちゃけ優勝以外なら何位でもいいかもしれません(笑)


【ma-.】そして今年の読上算は 6 位でした。種目別競技の中では最も入賞回数が多い種目ということになるようですが, 読上算は自分自身得意だと思いますか。


【浅野】はい, 思います。高 1 から毎年全日本に出ていますが, その時から 5 年連続入賞していますので。


【ma-.】読上算はどのようなところに面白さがある競技でしょうか。


【浅野】うーん, 問題の最後の方になるとこれを合わせれば優勝, 入賞できるかもという心理から手が震えたりしてしまうあの緊張感は僕は好きで面白いと思いますね。もちろん, その緊張感の中での競技はもちろん他の選手との戦いでもありますが自分との戦いでもあると思います。そして, その緊張に勝つにはやはり練習量。緊張するなという方が無理ですからね。


【ma-.】読上算を鍛えると, どんな良いことがあるでしょうか。


【浅野】総合の練習の前に指ならしとしてやるといいと思います。練習会の時も先生は一番最初に軽く読上算をやりますし。また、全日本くらいの読上げを聞き取れるようになれば, 日常生活のあらゆる場面での聞き取る力が向上するでしょう。そして, 当然指の弾きも速くなるでしょうから色んな種目で良い影響をもたらすと思います。


【ma-.】では他の種目に戻ろうかと思います。読上暗算は 6 位でした。この結果には満足していますか。


【浅野】順位は別として, 14 桁を合わせられたのは満足ですね。15 口ですから。


【ma-.】そういや口数については先程も言ってましたよね。読上算もそうですが, 全道レベルの大会はすべて 10 口止まりですもんね。

 ところで十数桁という桁数を聞くと, 常人(?) には「冗談でしょ!?」と感じると思います(笑)。浅野選手自身, 今後何桁程度まで実力を上げられると考えていますか。


【浅野】16 桁まではいずれ到達できると思っています。もちろん、練習では 16 桁以上の桁を練習する必要があるでしょうけどね。


【ma-.】なるほど, 大会で合わせるためにはもっと桁数に余裕を持っておかなければ, ということですね。で, 読上暗算は自分自身得意だと思いますか。


【浅野】いや, 種目別競技の中では苦手な方だと思っています。過去に読上暗算で入賞できなかったがために, 全種目入賞を 2 回逃してしまっていますので。


【ma-.】先程読上算についでも聞きましたが, 読上暗算はどのようなところに面白さがある競技だと思いますか。


【浅野】これもやはり読上算と同じであと少しで問題が終わるころの緊張感, というかもはやスリルですね(笑)。読上の場合, 自分は手の震えが一番その緊張感として顕著に表れてきますが, 読上暗算の場合は桁が消えたり, 或いは増えたりすることがあります(笑)。それを防ぐには……練習ですねやっぱり。


【ma-.】あー, 桁と桁の隙間が空いたり途中の桁が消失したり, よくしますよ私も(笑)。たしかに練習してませんもん(笑)

 で, 読上暗算を鍛えるとどんな良いことがあるでしょう。また「そんな大きな桁数の計算ができて何の役に立つのよ」という声もあるかと思いますが, それに対してはどう考えていますか。


【浅野】やはり, 桁幅が伸びるので総合でも有利になる面が多くなると思います。ただ, 色んな選手の方々を見ていると読上暗算の桁幅は総合におけるかけ算や見取算の桁幅とは完全にリンクするとは限らないみたいで, 個人差があるようですね。でも、自分は読上暗算のおかげで 12 桁以上のかけ算にも対応できるようになったと感じているので, 皆さんも自分の限界を作らずに練習を続けてみてください。必ず他の種目にもいい効果をもたらすはずです。

 実生活における良い影響としては, やはり数字を記憶するのが得意になるので役に立つと思いますね。携帯の電話番号等をメモが無くても記憶できたりだとか。そして「そんな大きな桁数の計算ができて何の役に立つのよ」という声に対してですが, じゃあ陸上の選手はそんなに速く走れて, 高く飛べて何の役に立つのよ? っていうのと同じことだと自分は考えています(笑)。人によって価値観の違いがあるので仕方がないと思いますね。


【ma-.】今の陸上競技の例えは, 私が持っている感覚とまったく同じで驚きました。私のような読上暗算せいぜい 7 桁の人間でも, 全国入賞レベルの人間でも, 同じ感覚なんだと思うと, 私自身も嬉しいですし何だか自信が出てきますね(笑)。

 あとよく驚かれることですが, 確かに携帯番号とかは一瞥しただけで……ほんとうに一瞬見ただけでも記憶できますよね。私レベルでもそうですから, 浅野選手なら 2 人分くらい一瞬じゃないですか(笑)


浅野選手

閉会式後の記念撮影

 さて次は個人総合です。順位は 44 位でした。点数には満足がいっていないということでしたが……


【浅野】先程も言いましたが, 練習での平均を 2, 30 点下回ってしまいましたので満足はいっていません。ただ, フラッシュ暗算の表彰式の後で興奮を抑えきれず, どの種目も普段よりペースは速くなってしまいがちでしたね。来年はフラッシュの結果がどうであれ, それに左右されないような練習もしていきたいと思っています。


【ma-.】あー, フラッシュ暗算は最初の競技ですもんね。その気持ちは判るような気がします。

 個人総合競技は乗算(かけ算), 除算(わり算), 見取算, 乗暗算, 除暗算, 見取暗算の 6 種目ありますが, どの種目が得意とか不得意とかありますか。


【浅野】得意なのは見取算ですね。そして, 苦手なのは誰もが苦労するかけ算です。満点を取れることもあれば, いきなり 5 題くらい間違えてしまったりでとにかく不安定です。


【ma-.】あぁ, かけ算あるあるですね。私も最も連続間違えが起きやすい種目のように感じます。そしてどの大会でも大抵冒頭の種目になりますから, まだエンジンが掛かっていないといういか, 大会冒頭の高揚感が残っているというか……先程の浅野選手の「フラッシュ暗算の表彰式の後の興奮を抑えきれず」のような感覚が常にある種目, と言えるのかも知れません。

 将来的には, やはりこの個人総合競技での優勝, つまり「そろばん日本一」が目標かと思いますが, ズバリいつ頃取れると考えていますか。


【浅野】いつ頃かは何とも言えませんが, やはり自分は北海道の 4 人目の選手権者になりたいです。もちろん, そのためには血の滲むような努力が必要だと感じています。でも, その努力, 練習を満足にできるのは学生の時だけ……と社会人になられた選手がよくおっしゃています。なので, 自分はあと残りの 2 年半をどう過ごすかで大きく変わってくると思っています。


【ma-.】なるほど。いやー, 勝手に期待しています(笑) あともう一つ。今回は全種目入賞という快挙を成し遂げましたが, これまではどうだったのでしょう。先程読上暗算の入賞が 1 度しかなかったと言っていたので, その時に全種目入賞だったのかということになるかと思いますが。


【浅野】前回の全種目入賞はそのときです。高 2 の時でした。ちなみに全種目入賞の経験がある選手はまだ僕を含めて 4 人しかいないんですよ。ちなみに僕はその高 2 の時に 3 人目となっています。


【ma-.】何と, そうだったんですか。もの凄い記録じゃないですか。本当に, あとはフラッシュ暗算以外の種目の日本一と, 総合日本一しか残っていない感じですね。

 ところで全日本にはありませんが, 全珠連の検定試験には「開法」とか「応用計算」とかもありますよね。それらの種目はどうでしょう, 得意とか不得意とかありますか。


【浅野】もちろん, 不得意です(笑)

 自分は中学までは学連の選手でしたので、一切開法、応用計算はやっていませんでした。強いて言うなら高 1 の時に全珠連検定を取るために、開法を短期的にやったくらいですね。応用計算は本当に全くやっていませんので学校で教わった知識内で解くことしかできません(笑)


(注)「学連」とは「全国珠算学校連盟」のことで, いわゆる珠算 3 団体の 1。詳しくはこのサイトの「リンク」を参照してください。


【ma-.】よくよく考えたら, 昔から全珠連だけですよね開法なんてあるの。私自身は数学教師なんで, ルート計算が暗算でできるのは相当役立ってますけど(笑)。

 応用計算と言えば, 浅野選手は現在小樽商科大学の学生ですよね。それこそ珠算の「応用計算」と商科大学での講義や研究と繋がる部分って, あるんでしょうか。


【浅野】うーん, 簿記に出てくる減価償却とか……そのくらいでしょうか……まだそこまで商学の深い講義を受けていないので分からないです, すみません(笑)


【ma-.】まぁそうですよね。いくら「商」科大学とはいえ, 「商」業高校とは違いますもんね(笑)


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