スペンツ

2011 年「そろばん日本一」 〜 若松選手とお話ししてみました

その 4. 様々な計算種目 〜 そろばんで, こんなことできるよ!

【ma-.】全日本の問題って, 全珠連の段位なんで小数点がありますよね。北海道の大会って整数問題ばかりというイメージがありますし, 速算と言えば整数というイメージもあると思います。こういった「問題の種類」について気にしたことってありますか?


おちゃめな若松1

おちゃめな若松選手 その1
実は若松選手は北海道から 2 人目の日本一
1 人目は工藤選手です……見えますか?

【若松】みんな, 整数問題の方がもちろんやり易いとは思います。私もそうですし。でも, 小数問題も奥が深くて好きです。

 特に問題の種類は気にしていないし, 気にしないようにもしています。

 得手不得手の無い, 大きな珠算を目指しています。


【ma-.】大きな珠算, って凄い表現ですね。

 整数問題は整数問題の, そして小数問題は小数問題のメリットというのがきっとあると思うんです。若松君はその辺り考えたり, 感じたりしたことはありますか。


【若松】あまり考えたこと無いなぁ。ただ, せっかくそろばん習ったんなら, 小数の世界にも馴染んでほしいですよね。

 父とプロ野球を見ている時には良く, 「○○選手は打率 .○○○ だけど, あれは何打数何安打なんだ?」なんて聞かれたなぁ。


【ma-.】それはまた凄い質問ですね。答えが無限にあるじゃないですか(笑)


【若松】父からの質問は, もちろんその日までの「試合数」も考慮してという前提です。

 父「尚弘〜あの選手, 今 .313 なんだけど何打数何安打? ちなみに 18 試合目」

 俺「あぁ、たぶん 67 打数 21 安打じゃない?」って感じ。ヤバい。マニアックですね(笑)


【ma-.】試合数から打数を予想できるのも, ある程度の計算能力があってこそのことですよね。1 試合 3〜4 打数と知らなければ無理ですから。これに限らず, 小数も日常的に使いますから, そういった意味でも重要ですよね。


 ところで, 桁数とかはどうなんでしょう。例えばかけ算は, 珠算検定段位でみると全珠連は最高で答えが 12 桁, 日珠連は 11 桁です。朝日の速算プリントで 13 桁。若松君は今 14 桁を暗算でやる練習をしているんでしたっけ? 個人的には 18 桁の問題とかも作ってアップしてますけど, 他の種目も含めてどうでしょう。


【若松】大会は 12, 13 桁くらいがマックスでちょうどいいと思っています。練習はもっと大きい桁でやりたいですけどね。


 そういえば, 自分で作問してて前に困ったことがあるんだけど, エクセルって 15 桁までしか表示できないのでしょうか? それであきらめて 15 桁で練習してるんですが……


【ma-.】あぁそれは, PC のビット数からくる限界値の問題だと思うんですけど, 確かに私も 15 桁というビミョーな数値に疑問に思ったことはありますね。もしかすると内部では 2 進法ではなく 10 進法で計算していて, 16 バイトの記憶領域を用意しているのかもしれません……って, そろばんに関係のない専門的な話は置いておきましょうか(笑)


 ところで検定試験では, 小数点の端数処理も変わりましたよね。全珠連も日珠連も昔は小数第 4 位だったものが, 小数第 3 位に変更されました。これによる影響とかあるんですかね。個人的には若干難易度が下がったんだろうと思ってますけど。


【若松】そういえばそうですね。小数第 3 位までが一般的でいいんではないでしょうか。先ほどの打率も 3 位までだし。パーセント表示も ○○.○%までの表示が多いですよね。


【ma-.】あぁ, 確かにそう言われればそうですね。気付きませんでした。

 日珠連の珠算段位には, 余りを求める必要のある割り算もありましたが, これも削除されました。


【若松】そうでしたっけ? 余りは余りで面白いのにね。正確な計算力をつけるのにも, 大会の難易度をグンと上げるのにも効果的ですよね。


【ma-.】箱物(見取算)は特に, 文字数が正答率に直結するので, 全珠連の問題変更は正答率アップに一役買ったような気がしています。昔の 15 口, 20 口繋がっていた見取算と, 今の全珠連のせいぜい 8 口という見取算を比べて, どうですか?


【若松】読み上げも見取算も口数は短くなる傾向にありますよね。多くの方が受験する検定試験は, 口数を短めにしてとっつき易くするのはいいかもしれないですよね。

 でも, 大会の中にはストロングな 15 口を計算させるものも残っていて欲しいと思います。


【ma-.】私の感覚は, 結構逆なんですよね。検定は, 特に 3 級という, 世間一般的に通用するレベルを超えた場合, 正確性を重視しないとまずいと思うんです。だから, 4 級以下はともかく, 3 級以上は箱物を長くして……そういった意味では日珠連(日商)の方が私の感覚に合っているんですけど, 大会は逆に短いもので大量に解かせるような種目があっても良いかな, と思っています。

 もちろん大会は, その大会の方向性や考え方でどんな問題があっても良いと思いますから, 例の 100 口見取算とかがあっても良いとは思いますが(笑)


【若松】いやぁ, それも面白いかもね。短い口数から長い口数までいろいろあって, 口数によって配点が違うとかね! 制限時間と自分の実力を考慮して, できるだけ多い口数にチャレンジとか。ほんとにそんな問題作りたくなってきました。いつか, 手を組んで面白い大会やりましょうね!


【ma-.】えぇ, そんな日が来ると良いですね!

 では質問をもうちょっと続けますね。例えば全珠連の検定試験は, 選択種目とは言え, 暗算, 伝票算, 応用計算, そして開法と種目数が増えていきます。それに対して日珠連は種目こそ増えないものの計算量が多い。この辺り, 若松君はどう考えているとか……なぁんか質問の仕方ヘタですが(笑), そういった種目数の違いについて思うところはありますか。


【若松】対照的で良いのではないでしょうか。個人的には, そろばんでは「あんなことやこんなこともできるんだぞ」と知ってもらうためにも,多くの種目があるのはとても良いことだと思います。


おちゃめな若松2

おちゃめな若松選手 その2
沖縄県を存分に満喫中

【ma-.】応用計算なんかは, 個人的には好きなんですけど, 若松君はどうですか。

 応用計算, 特に商業計算を真面目に練習すると, 掛け足すとかの技術も身に付けられたりと, そろばんの扱いに幅が増えるような気がしています。


【若松】応用計算は私の弱点の一つです……商業計算は、今からでも学びたいので今度教えて下さい。


【ma-.】あ, じゃぁ大関君に習ってください(笑) というか, 道東には応用計算大得意なI選手とかもいるじゃないですか。

 応用計算と言えば, 昔は商業計算ばかりでしたよね。それが最近の全珠連の検定……正確には 2001 年の検定問題改正から, 大きな数の概数計算とか面積計算とか, 学校教育に繋がるというような名目の問題が増えました。この辺りはどう感じていますか。


【若松】改正後の方が良いのではないでしょうか?

 ただ、全日本珠算選手権大会でも応用計算は種目から無くなってしまったし, 新しい応用計算をきちんと計ったことはあまり無いんですよね……

 小学生の頃, 検定試験中の応用の時間は手も足も出ない時間だったのですが, 今なら小学生でも多少はできそうですよね。


【ma-.】そうですね。個人的には, そうやって小学生でもできそうな問題を取り入れたから「こそ」, 全日本にも残して欲しかったと思ってます。その方が大会の方針もハッキリしたように思うんですよね。

 というか, 全日本も珠算検定段位の問題を全部やらせて(制限時間半分で), 採点の際も検定と同じように最低得点の 1 種目を入れずに合計点を出す, みたいにすれば良いのに, と思ってます。


【若松】なるほどぉ。それも斬新ですね。でもそうなって来ると, 種目ごとに難易度の差が出てしまい, 一発勝負で優劣を決める大会では, ちょっと後味の悪い結末になってしまうこともあるかもしれませんね。


【ma-.】もちろん全種目できる選手が有利なことは間違いないので良いかと思いますよ。私の伝票算のように, 不得意種目がある選手はそれ以外1種目も点数を落とせない戦いになりますよね。

 次は, その伝票算ですが。大関選手なんか, 毎秒 6 枚以上めくれるのでフラッシュ暗算が出始めたときに最初からもの凄いスピードのものができたとか, もの凄いメリットかもと思います(笑)。なんか伝票の目的間違えているような気がしますけど(笑)

 若松君は, 伝票算について何か思うところはありますか?


【若松】十段を取って検定試験を終えてしまうと, 伝票に触れる機会が少なくて寂しいですよね……なので, 自然と練習できるように自分で作ったオリジナル速算には伝票の解答用紙も印刷しています。「何でもいいから, 手元にある伝票をやりなさい」っていう意味で。


【ma-.】ガーン, 十段取る前から伝票の練習をサボッていた私の立場は……(笑)

 そうそう, 伝票算も, ただ単に数字が書いてあって足す「普通の伝票」よりも, 昔商業科目であった「単価と個数が記入されていてかけ算結果が書かれていない伝票」の計算が, 現実世界にも近くて良かったように思いますね。


【若松】あまりやったこと無いですけど, それは面白そうだし, 良い練習になりそうですね。総合競技では無く, 特別競技でそんな種目があったら楽しそう。


【ma-.】昔の札幌市民大会の特別競技でそんな種目が取り入れられたことがあって, こんなに伝票嫌いの私が優勝してしまったことがあるんですよ。最後は大関選手と N 選手と, 3 人で決勝で, 私だけ正解してしまったという奇跡的な優勝でしたから, めちゃくちゃ印象に残ってます。


【若松】そんなことがあったんですね。それはやっぱり特別競技としてはとても有効ですね。どんな選手にもチャンスがあるのが特別競技の良いところ。

 あっ。ma-.さんがそんなに上手じゃないとか, そういうことを言ってるんでは無いですからね!(汗)


【ma-.】え? 私そんなに上手じゃないですよ?

 って, その住んでいる地域とかによってこの辺りの感覚にも相当差があるんですけどね。某地域では, 十段とっただけで新聞社が何社も取材に来たりしましたが, 札幌ではまったくニュースにもなりませんからね(笑)


 さて種目別の話に戻って, 全珠連段位検定の開法なんてのはどうなんでしょう。個人的には好きなんですけど, 何のためにやらせてるんだと思わなくもない(笑)。若松君も得意種目ですよね。

 この種目の存在意義って, 何なんですかね。


【若松】開法に関しては、もうどの大会にも無いし, 完全に検定のためだけの存在になってますよね。日常生活であの暗算をすることも無いし。

 でも, ルート計算や面積の「平方メートル」, 体積の「立方メートル」が現実に存在するんだし, それをそろばんで解く(計算する)ことができるというのはそろばんの奥深さの一つですよね。絶対にそろばんの世界から無くならないでほしいです。


【ma-.】そろばん技術の向上に実は重要なのが, 読上算とか読上暗算だと思ってるんですけど, 若松君はどう考えていますか? 最近はこれらをまじめに練習させているそろばん教室自体少ないように思うんですが。


【若松】うん。重要だし, 本質だし, 伝統ですよね。きちんと練習しているそろばん教室はけっこう多いと思いますよ。私も先生になったらできるだけたくさん読んであげたいですね。


【ma-.】えっ, きちんと練習している教室, 多いですか? なんだか, 地方とかの小さな大会……札幌市内の大会でもそうなんですけど, そういった大会を見ていると, ちょっと不安に思えてきますけど……


【若松】私の知ってる先生だけなのかな? なかなか教室の授業風景を見ることはできないし, 多いのか少ないのかやっぱり良く分かりません……


おちゃめな若松3

おちゃめな若松選手 その3
誰だね, こんなネタ写真撮ったのは(汗)

【ma-.】私自身, 多くの教室を見ているわけではないので, これ以上推測で喋るのはやめときます(笑)

 新種目としては 10年ほど前からフラッシュ暗算が取りだたされるようになりました。若松君にとっても全日本で準優勝するほど得意種目なわけですが, この種目についてはどう考えていますか。


【若松】一般受け, メディア受けしやすいわかり易さという点でも, 分割や筆算を防止するという観点からも, とても大切な種目ですよね。今となっては。見取算はそこまで速くないのに, フラッシュはとてつもない速さの問題を合わせる選手もいて, とっても不思議です。あれは何の能力なんでしょう。


【ma-.】実はそのスピードで計算していないで, 最後の数口は映像記憶しているなんてパターンもあるのかな? なんて考えることもあるんですけど, 実際のところはどうなんでしょうかね。


【若松】それはありますよね。私も最後の方は計算が追い付かないので, 数字の表示が最後まで終わって 3 秒後くらいに答えが出ることはザラですね。


【ma-.】他に若松君が思いつくところで, 他にそろばんでこんな技があるよ, みたいなことってありますか?

 私が思いつくところでは, ダースグロスの問題はそろばんで一気にできることとか, 進法の変換も楽だぞとか, 知っていれば得するのにと思ってますけど。


【若松】(そろばんの)盤面で「か」って書けるよ!


【ma-.】……………………(汗)


【若松】「サ」も書けるよ!!


【ma-.】続けて「カサ」ですか……(汗)


 まぁ気にしないことにして(笑), ちょっと質問を変えますかね。

 そろばんをやっている人に, これまでの練習以外にもこんなことやってみたら? とかこんな事もできるぞ, みたいなことを教えるとしたら, どんなことを教えたいですか。


【若松】それはたくさんあるなぁ。例えば、フラッシュの練習をする際, 自分の力より速い問題でも同じ問題を繰り返しやっていると, そのうち出来るようになりますよ。この前, 「3 桁 15 口 1.5 秒」をひたすら同じ問題でやったら 21 回目に正解して, これも面白い練習だなと思いました。


【ma-.】同じ問題ってのは, 出題される数値も同じ, という意味ですか?


【若松】もちろん数値も同じ。1 口目〜 15 口目まで全て同じ数値という意味です。


【ma-.】ほほう, なるほど。じゃあ今度, 自作のフラッシュ暗算プログラムにそういった機能を取り入れてみることにします(笑) で, 自分でも練習してみます……いや, 果たして練習するかなぁ(笑)


 その 3 < 4 > その 5