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実施日主 催 団 体大 会 名
2013 年 9 月 15 日(日)北海道商工会議所連合会第 71 回 全道珠算競技大会

 去る 9 月 15 日, 函館市のサンリフレ函館にて表記大会が盛大に行われました。

 参加者数 340 人。まさに「盛大に」と言って良い大会だったように思います。

 内容も, 久々の復帰選手あり, 内容の濃い同点決勝あり, 途中でハプニングありと, レポートするにふさわしい(?) 大会となりました。

 では, その様子をレポートします。


競技レポート

 競技内容は例年通り。個人総合競技はそろばんコンクールの問題を使っていますが, 小学生以下がその前半半分を使用, 中学生以上は後半半分を使用しています。当然制限時間は半分。都合, 後半半分グループは, 本家そろばんコンクールよりも相当難易度が高い問題を使用していることになります。特にみとり暗算の後半半分 15 問を制限時間 1 分 30 秒は凶悪だと思います。


 まずは個人総合競技。

 開会式が 8:30 開始, 競技が 9 時開始です。

 かけ算 5 分, わり算 5 分, みとり暗算 1 分 30 秒, みとり算 5 分の 4 種目, 9:25 分には競技が終わりました。

 問題はそのあと。全種目交換採点なのですが, 小学校 4 年生以下の部が酷すぎる。もちろん小学生が悪いなんて言うつもりはありませんよ。運営側もそんなこと毎年の恒例行事ですからわかってるだろうに, 毎年何の対策もナシ。小学 5 年生以上が 30 分もあれば終わっている中, 小学 4 年生以下の部を永遠待ち続ける状況。更に司会から「完全に交換採点が終わるまで私語を禁止します!」の一言。現実に則っていない。これは完全に運営の怠慢だと思いますがどうでしょうか。

 個人的には, どうせ交換採点ですから, 席順をいじれば良いと思うんですよね。例えば, 小学 4 年生以下の部の選手を A, 高校生以上の選手を B とし, 会場片側から A 列, B 列, B 列, A 列, B 列, B 列……のように座らせる。まずは B 列同士交換採点。多分 10 分程度で終わります。その後, B 列の片側が A 列の答案を採点, B 列のもう片側が再採点。つまり, 小学 4 年生以下の選手は採点しないシステムなんてどうでしょうか。もちろん小学 4 年生以下の部の選手が採点する教育的効果といいますか, そういったことを口にする先生方もいらっしゃるのでしょう。しかし本来, 採点はすべて運営側で行うべきものでしょうから, 理由にならないと思います。とにかく大会をスムーズに進めること, このことをもうちょっと考慮していただきたいものです。

 さて, 満点が 4 名も出ました。これも何年ぶりのことかわからないくらい久しぶりのことです。少なくとも, 私が大会復帰してからは初めてのことです。このレポートは次回に譲ります。


 10:30 頃から種目別読上暗算競技が, そして午後最初の種目として 13 時から読上算が始まりました。

 読上暗算競技は読みのスピードが遅いのであまり気になりませんでしたが, 音響が酷すぎた! この体育館としても使えるとても天井が高い会場で, せっかくレンタルしているアンプ(スピーカー)がステージ横にしか設置されていない。後ろ半分の選手からすると反響音が大きすぎてスピードの速い読みは全然聞こえないレベルでした。いえ, 「聞こえてはいる」のですが, 「聞き取れない」ということです。

 大会によってはその辺りよく(?)考えられていて, アンプを会場横(当然前端と後端の中間位置)にも配置されていたりします。しかし現代のコンピュータ廉価時代。センター試験よろしく, 全員にイヤホンを配布して無線で音声を送り届けるとかしても良いのではないでしょうか。それこそ事前に100問近くPCに録音しておいて, 問題番号を押せばそれを再生するだけ, とかにしておけば, 読み間違いによる読み直しなどもなくなります。どうでしょう。


 話を戻して読上暗算競技。1 問目はいつも通り 5〜16 桁の加減算。ここでは正解者は出ませんでしたが, 2 問目の加算で 1 人正解。はい, いつもどおりです。おめでとうございます。しかしこの読上暗算, そろそろ同レベルの選手が出始めていますね。16 桁で函館の選手がもう 1 人惜しくも「1 違い」で散っていました。高校生の部優勝の浅野選手も 14 桁で優勝。彼としては自己ベストレベルですが, 年齢的に考えて 16 桁も狙えそうです。中学生の部の優勝は 12 桁, 優勝者の実力としては「上がっていませんでした」。最も伸び盛りになるハズの年齢ですが, これはちょっぴり残念です。そして小学生以下の最高は 7 桁……次なる選手が全然存在しません。大丈夫でしょうか。


 とにかく, 今の珠算界は社会人によって成り立っていると言っても過言ではない状況なんですよね。35 〜 40 位の年齢層に全国優勝レベルがゴロゴロ。復帰組もこの辺の年齢です。あとは社会人になっても続けている組がちょこちょこいる状況。大会の問題も, この辺りのレベルでも間違える可能性がある程度の問題を考えている節があり, 中学生にとってはまさに苦行。本当はこの苦行にも耐える練習をして欲しいところですが, そういう気概のある選手がなかなか出てこない。というか, 楽しくそういうレベルに到達できるような練習環境がないと言っても過言ではないのではないでしょうか。

 このまま 10 年経ったとして, 珠算界は一体どうなってしまっているんでしょうか。私が心配しても仕方がありませんが, しかもネガティブ思考で申し訳ないのですが, ちょっと残念な姿……つまり「良いオッサンとオネェサン集団が楽しむ競技」となっている姿が想像できてしまいます。


 そして問題の読上算競技。1 問目はいつも通り 7〜16 桁の補数計算でしたが, これが 27.1 秒(今回は読みを録音して計測したので正確です)という驚異的スピードの読みでした。数名答えを書いていましたが, その選手はほとんど会場の前半分側のみ。後ろ半分に座っていた読上算の名手である眞田美歩選手やここ数年連続全国大会で入賞している浅野選手ですら, 聞き取れないという状況でした。

 3 問目, 加減算 31.7 秒でただ 1 名正解したのが, 前回の道央大会から復帰した全国制覇経験者の工藤由季夫選手でした。会場からは何故かどよめきが……いやいや, 工藤選手に失礼でしょうが! 工藤選手の本当の実力を知らない方々が如何に多いかということを知った瞬間でもありました。

 次の 4 問目, 加算 30.5 秒で中学生の部の優勝が決定。十勝の選手でした。6 問目, 加算 33.8 秒で高校生の部の優勝が決定。しかも浅野選手ではありませんでした。もちろん今回の優勝者も実力者ですよ! そういう意味ではなく, 浅野選手が 33 秒という「遅い」スピードの読上算で合わないなんてことは珍しいのです。ちょどこの 6 問目辺りから, ようやく後ろの座席の入賞が出てきました。一般の部も一気に 4 名の正解が出ました。

 8 問目, 加算 38.0 秒で一般の部はここで入賞枠が埋まり, 小学 5・6 年生の部からは 3 名の正解が出ました。次の加減算でそのうちの 1 名だけが正解して優勝が決定。この時点で, 小学 4 年生以下の部の正解はありません。


 そして事件が……。この日は朝から雨で, しかも嵐に近いような状況で, JR も乱れていました。

 9 問目が終わったところ, 時刻にして 13:40 頃, 釧路の選手が「JR が次の便を最後に動く保証ができない」とのことで緊急離脱。この大会に向けて頑張って練習してきた方々にとっては残念なことですが, 天候にはかないません。釧路の JR 利用組が会場を後にするまで大会は中断しました。小学 4 年生以下の部の優勝が釧路組にいたとすると, ちょっと残念です。もちろん, この後行われた都市対抗競技にも釧路チームの姿はありまんせんでした。

 小学 4 年生以下の部の優勝は, 12 問目の 7〜14 桁加減算でした。


競技復帰者, そして同点決勝

 さて, ここからは明るい話題メインでいきたいと思います。

 残された種目・部門は, 個人総合の同点決勝, つまりそろばん北海道一決定戦の模様でしょうか。


 というわけで, 早速復帰組の話題です。

 前回の道央大会では伝説の(!?) 工藤由起夫選手が復帰しました。工藤選手は 16 年ぶりと言っていたような気がします。そして今回復帰したのは, 谷口真一選手です。全国で名を轟かせる, というわけではありませんが, 彼の特徴はとにかく「正確である」の一言に尽きると思います。最後に出場した大会が平成 18 年 1 月に苫小牧にて行われた北海道珠算選手権大会ですから, 7 年半ぶりの復活ということになります。その 7 年半前の最後の大会では, 見事満点(問題は全珠連通信大会のものです)を取得して同点決勝に出場しています。このときの優勝者は若松選手です。同点決勝は完全なるスピード勝負ですから, さすがにかなわなかったのでしょう。それでも, 満点を取ったという事実だけでも, その計算の正確さはおわかりいただけるかと思います。


 さて今回。そろばん北海道一を決定する同点決勝に進出した選手は 4 名。4 名もの選手での同点決勝自体がもう何年ぶりのことかわからないレベルですから, それはそれは盛り上がりました。この大会の同点決勝は1種目ずつ採点しながら行われますから, なおのことさら盛り上がります。

 この同点決勝の問題のレベルは「そろばんやろうよ!!」にも記載していません。ここに紹介しますが, その問題のレベルには驚愕します。もともとこの全道大会の問題レベルが, そろばんコンクールの問題後半半分を制限時間半分にて, ということでした。そして同点決勝は, そろばんコンクールの問題ラスト 1/6(実際に解く問題から比較すると 1/5)を制限時間 1/10 で(みとり暗算は制限時間 1/9)です。問題は徐々に桁数を上げていきますから, 単純に計算量が 1/5 になるというわけではなく, もっともっと多いことになります。具体的には, 例えばかけ算は「6 桁× 5 桁」の問題 10 問を制限時間 1 分, ということになります。みとり暗算に至っては, 5 桁 10 口が 2 問, 6 桁 10 口が 3 問を制限時間 20 秒という恐ろしさ。もう既に「何故終わるの?」と聞きたくなるレベルです。もちろん, 同点決勝出場者全員が終わるというわけではありません。つまり, 究極のスピード勝負と言っても過言ではありません。

 出場した 4 名を参加番号順に紹介しましょう。まずは若松尚弘選手。言わずと知れた 2011 年度のそろばん日本一です。この同点決勝の問題ですら, わり算では全問見直しができるという驚愕のスピードの持ち主です。2 人目は若松彩選手。若松尚弘選手の妻となった彼女は, そろばん道東一を取るなど, その実力はだれもが認めるところです。昨年行われたそろばん名人戦では, 予選を突破してベスト 16 に入っていました。3 人目は工藤由起夫選手。21 年前のそろばん日本一です。そろばんを使いながら若松尚弘選手にひけを取らないスピードを誇り, かつ(私感ですが)若松選手以上の正確さを誇ります。ちなみに今回の大会の練習は前日に 5 回だけやりましたということでしたが, その 5 回とも満点だったそうです。そして当日も満点ですから, 満点以外はなかったということになります。最後の 4 人目が, 先に紹介した谷口真一選手。そもそも 7 年半振りの復帰ながら総合競技でしっかり満点を取るあたり, その正確さをうかがい知ることができますよね。

 1 種目ずつ紹介しましょう。まずはかけ算。5 桁× 6 桁を 10 問, 制限時間 1 分です。若松夫妻は共に暗算。工藤選手はそろばんと暗算のハイブリッド。そして谷口選手は完全にそろばん使用です。ちなみにこの問題レベルは, 整数問題か非整数問題があるかということは置いておいて, 日珠連の段位と同レベルですから, 10 分で 58 問以上正解すれば十段ということです。10 分で 60 問を日珠連十段レベルとすると, この同点決勝レベルはその約 1.7 倍のスピードが必要です。そもそも日珠連十段は全珠連十段の 1.5 倍程度のスピードが必要ですから, 全珠連十段レベルの約 2.5 倍のスピードが必要ということになります。もう少々判りやすく書くと, この同点決勝で 30 点取れば日珠連十段レベルです。結果は, 若松尚弘選手 50 点(満点), 若松彩選手 35 点, 工藤選手 40 点, 谷口選手 30 点。全員日珠連十段レベルは証明されました。特に谷口選手はすべてそろばんでこのスピードですから, さすがというよりありません。

 2 種目目はわり算。11 桁÷ 5 桁を 10 問, 制限時間 1 分です。若松尚弘選手 50 点(満点), 若松彩選手 40 点, 工藤選手 50 点(満点), 谷口選手 25 点でした。一般的にかけ算よりもわり算の方がやさしいとされますが, この大会はかけ算とわり算が同一桁数(検定試験はわり算が 1 桁落ちるのが通例)ですから, さすがにわり算をそろばん使用はキツいといことでしょう。日珠連段位のわり算問題も「10桁÷」と 1 桁落ちています。ですからこの種目の 25 点も, 日珠連十段を取得するのに十分なスピードであると言えると思います。

 3 種目目はみとり暗算。5 桁 10 口を 2 問, 6 桁 10 口を 3 問, 合計 5 問を制限時間 20 秒です。加減算 2 問のうち 1 問は補数問題(答えがマイナスとなる問題)となっています。筆者は全珠連十段ですが, 2 問しかできません。恐ろしい設定です。結果は, 若松尚弘選手 50 点(満点), 若松彩選手 30 点, 工藤選手 40 点, 谷口選手 40 点でした。谷口選手, ここで初めて「最下位」ではない得点となりました。やはりこの設定で満点は「宇宙人レベル」でないと難しいということでしょうか(褒め言葉ですよ!)。

 この時点で, 若松尚弘選手 150 点(満点), 若松彩選手 105 点, 工藤選手 130 点, 谷口選手 95 点。1 位と 2 位の差は 20 点ですから, 若松選手が最後のみとり算で 2 問間違えるということが起きないと逆転はありません。みとり算は計算量だけみるとみとり暗算よりも少ないですが, より正確さが要求される種目ですから, 意外と逆転もありえます。

 最後のみとり算。11 桁 10 口を 2 問, 12 桁 10 口を 3 問, 合計 5 問を制限時間 1 分です。みとり暗算よりも 1.5 倍ほど時間を掛けて計算しても終わる計算ですから, 4 人とも満点の可能性はありますし, 先述したようにどの選手も間違える可能性もある問題です。結果は……若松尚弘選手 50 点(満点), 若松彩選手 50 点(満点), 工藤選手 50 点(満点), 谷口選手 40 点となりました。

 4 種目の合計は, 若松尚弘選手 200 点, 圧巻の全種目満点でした。次が工藤選手の 180 点。そして若松彩選手 155 点, 谷口選手 135 点。こうして, 熱い熱い同点決勝は幕を閉じました。

 この競技の得点の途中経過は常にスクリーン(とはいえ会場左側の選手からは小さすぎて全然見えませんでしたが)に表示されており, 観戦している方々にも判りやすい状況になっています。やはり同点決勝はこのように多数の選手で行われると盛り上がりますね!


都市対抗競技

 かなりレポートが長くなってきましたが, 最後に都市対抗競技です。これも 1 種目ずつ行われ, その途中経過もスクリーンの表示されていますので, 参加者は各都市 5 名だけながらなかなか盛り上がる競技となっています。もちろん大本命は, 全国レベルの選手だらけの札幌でしょう。しかし, 1種目1問のみ, 読み上げ種目もあるというこのシステム上, どのような実力者も緊張からか間違える可能性があり, なかなかスリリングです。  そして今回, 大事件が起きました。その種目は, まさかのわり算。大本命の札幌が, 5 名中正解者が 3 名! 間違えた 2 名のうちの 1 名は, 北海道選手権者の経験もある選手! さすがに札幌の部からは「えーーーっ!」というどよめきが起こっていました。

 最後に優勝したのは, 5 点満点(5 人正解)×6 種目で 30 点満点のところ 29 点を獲得した室蘭市でした。2 位が函館市(28 点), 3 位が札幌市(27 点)でした。ちなみに札幌市は, もう一つ読上算で 1 名間違えてしまいました。なお室蘭市の優勝は昭和 57 年大会以来実に 31 年振りのことでした。おめでとうございます!

 ……って, この 31 年前の都市対抗競技室蘭市チーム 5 名の中に, 筆者が含まれています。実に懐かしい限りです。


 以上, 今後とも熱い大会が増えてくることを祈りつつ, 今回のレポートを終了します。