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実施日主 催 団 体大 会 名
2012 年 7 月 1 日(日)(社)全国珠算教育連盟道央支部全珠連道央支部地区対抗珠算競技大会

 去る 7 月 1 日, 全珠連道央支部の道央地区対抗珠算競技大会が江別市民会館にて行われました。その結果と筆者の雑感などを書き連ねたいと思います。


競技結果について

 まずは読上暗算競技。

 高校生以上の部は某選手が 18 連覇。記録は 15 桁でした。16 桁を間違えたのは残念ですが, 次に続く選手がいつ出てくるかが見物です。

 そこに, 小学校 5・6 年生の部で 12 桁の正解者が! 昨年が 9 桁でしたから, これはもの凄い成長です。来年以降も続けて, 自身の記録を更に伸ばし, いつの日か高校生以上の部の連覇を止めてくれることを願ってやみません。


 読上算競技は, 1 問目 7〜16 桁補数計算 33.3 秒, 高校生以上の部で 3 名の正解者が出るというレベルの高いものでした。まぁ 1 問目そのものは全国のスピードからみるとまだまだなのですが, それでも加算 28.9 秒で優勝が決定しましたからなかなかの高レベルです。

 しかし, この部門が中学生以下が伸びません。中学生の部, 小学校 5・6 年生の部共に加減算 39.5 秒という平凡なタイムでの優勝。そろばんそのものの技術向上にも繋がりますから, 是非とももっと頑張って欲しいところです。

 それより, 小学校 4 年生以下の部の入賞枠決定の方法はいかがなものかと思いますがどうでしょう。無理矢理大きな桁数を保って異常にゆっくりなペースで読む……確かに本サイトなどでは「16 桁」などと凄いと思われる記録として残りますが, そのスピードたるや途中で眠ってしまいそうな程です。読上算の意義, 或いは効能とは, ある程度記憶に頼らないとできないという部分であることは十分承知していますが, それにしても小学 4 年生如何に千兆とかは(優勝決定戦とかならともかく入賞枠決定戦としては)キツいわけで, ある程度記憶が必要な 7〜11 桁程度に抑えて競技をしても何ら問題ないと思いますがどうでしょう。


 さて, 最後に個人総合競技です。

 今回は満点が出ませんでした。1,990 点で道央一決定です。

 一般の部の入賞ラインはですが, 昨年は 1,850 点と異常なレベルでしたが, 今年度は例年通りでした。他の部門もほぼ平年通りだったかと思います。

 小学校 4 年生以下の部の優勝点数が 1,460 点と奮わなかったのがちょっと気になるところ。しかし入賞ラインは上がっているので, 近い仲間と一緒に練習する環境を作るなどして切磋琢磨して技術向上に努めて欲しいところです。


今回生じた問題について

 今回の大会では問題が生じておりましたので, その件について筆者の考え方を述べておきたいと思います。


 まずは事実関係を述べます。

 高校生以上の部のとある選手。もちろん入賞できる実力者ですが, 今回の採点で数字が悪いということで数百点も減点されました。

 その数字とは「7」。確かに, 開会式直後の「競技場の注意」で, 主催者側から「特に『カギなしの7』に注意してください」という異例とも言える注意が述べられておりました。

 採点は, 乗算以外のすべての種目が「交換採点」。この選手の答案をつけた別の選手は, 数多くの「カギなしの 7」が書かれたこの答案を見て, そして開会式に於ける主催者側の注意を覚えていて, どうすべきか相当悩んだことでしょう。挙手して会場委員を呼び, 本当にバツにするのかと聞いていました。会場委員もさすがに判断に苦慮したようで, 壇上の「上」に判断を仰ぎます。結論は「すべてバツ」という厳しいものでした。

 開会式であのような注意をしていた手前, この判断も仕方がないことでしょうね。大変残念なことですが, この選手自身がこの件に文句を言うことは難しいでしょう。

 しかし, この一連の流れには幾つか重大な問題があると筆者は考えています。その件については, 最後に指摘したいと思います。


 さて, 数字について確認しておきましょう。

 もちろん皆さんは, 「公教育」で様々な文字を学びました。特に漢字は止め撥ねなどをきびしくチェックされたのではないでしょうか。もちろん漢字以外の文字も, 「正しい書き方」というのは決まっており, 最初……特に小学校 1 年生ではこの「正しい書き方」で文字を学んだはずです。

 今回の問題となった「7」ですが, 正しい「7」はもちろん「カギつき」です。では何故「カギなし」も多く見かけるのか, それは単に「その方が素早く書けるから」という理由以外に, 多分にデザイン上の問題が含まれます。

 「1」と間違いないように, 欧米人はよく「カギなしの 7」の縦棒の途中に「チョン」と入れることでしょう。このように, 文字を判別できるようにする工夫は様々なわけです。全珠連の規定では, 当然この「チョンつきのカギなし 7」もバツです。欧米人が珠算検定を受ける際は大変だと思うのですが, 本当に日本国外でも同じ数字規定での採点がなされているのでしょうか?


 その「カギなしの7」と間違える可能性が指摘される「1」。正しくは「カギなし」です。

 もちろんその理由はさきほどの「7」と同じ。カギをつけて, それが長くなると「カギつき 7」と間違える可能性があるからです。

 全珠連の規定でも, カギつきの 1 はバツです。

 欧米文化が多く取り入れられる今日においては, 今度はこの「1」が「l」(アルファベットの小文字のエル)と間違える可能性があります。「l」のブロック体も正しくは「完全にまっすぐな縦棒」であり, どこにもカギなどつきませんから, 正しい「1」と完全に区別が付きません。そこで, 例えばコンピュータ文字の「1」は 45 度程度のカギ, 「l」は90度の鍵を付けることにより判別できるようにしていることが多いでしょう。しかし, いずれにせよデザイン上の問題であることは変わりがありません。

 参考までに, 容積の基本単位である「リットル」は, その頭文字を取って「l」(エル)ですが, これも誤読を防ぐために筆記体の(小文字の)エルがよく用いられます。正しい表記法はブロック体。そもそもすべての単位は基本的にブロック体を用いることが国際ルールとして定められているのです。ジュースの缶などを是非ご覧いただきたいのですが, 最近は殆どすべての製品においてこのルールで表記されていることと思います。小文字のブロック体のエルだと間違いやすいと感じれば, (リットルに関しては)大文字のエルを用いても良いことになっています。詳しくは, こちらのサイトをご覧ください。

 ところで小学校の教科書もこのルールに則った表記に順次改訂されつつあるのですが, 全珠連の応用計算に登場するリットルはすべて筆記体を用いているようですね……


 「4」は正しく書けますか? 右に示したとおり, 正しくは最初(1 画目)の「L字」と 2 画目の「縦棒」の上部はくっつかない, が正解です。

 全珠連の規定はどうなっているのでしょうか。私の経験からすると, 上がくっついていてもマルなような気がしています。だとすると, 何故「7」だけが厳しくなったのでしょうか。単に「1」と間違いやすいからなのでしょうか。


 「2」はどうですか? 商業(簿記・会計)の世界では当たり前に使われている「クルっと回った 2」は当然間違い。

 全珠連の規定では, 皆さんのご想像通り「クルっと回った 2」もマル。それどころか, 問題に使われている「2」はすべてこの「クルっと回った 2」なんですから, 全珠連としては当然と言えば当然のことです。そもそもそろばん(珠算)教育は商業教育の一環でスタートしていますから, 歴史的な慣例としか言いようがありません。しかしこれまた純真無垢な小学生に「どうして学校で習わないこんな『2』を書くの?」と聞かれたら, どう説明するのでしょうか。

 ちなみに, 当たり前と思われるかも知れませんが「3」の中央部分をクルっとしてしまうとバツ。これは全珠連の規定でもバツです。


 いずれにせよ, 全珠連の規定は学校教育(初等教育)のそれとも, 国際ルールとも, いずれとも合致していない, 独自のルールであることがわかります。

 以上のことも考慮しながら, いよいよ今回の問題について筆者の考え方を述べることにしましょう。


【問題点】

(1) この大会は「オープン大会」であるから, 全珠連独自ルールによる採点はふさわしくない。


 閉会式での講評にて「今回は, 数字の基準で混乱があったようだ」という旨の発言がありました。特に「事前に各教場を経由してこの件を徹底できなかった」とも述べていますが, そもそも筋違いです。これはまるで, この大会は全珠連加盟の教場からしか選手が集まっていない, という認識をされているように感じます。


(2) (交換採点なので)数字の判断の責任を選手に委ねている。悪く言えば, 主催者側が責任逃れをしている。


 私は, 「カギつきの 7」のような文字は何とも思わず, 数字をコンマが猛烈にくっついているとかそういったものが気になって仕方がない人間です。この私の感覚からだけでもわかるように, 採点者が全員異なるという事はこの感覚も全員ことなるということであり, そもそも基準がデタラメになっているということでもあります。

 会場委員の先生がいるではないかと思われるでしょうが, そもそも「まぁいいか」と思った数字で会場委員を呼ぶことはなく, つまり交換採点をするということは数字に「甘く」なることはあっても「厳しく」なることはないのです。

 このような統一性のない手法を用いていながら, その一方で「数字の基準は○○ですよ」という採点の責任を選手に任せており, 今回の件で「本当にバツにするんですか?」と疑問に思う選手の気持ちが良くわかります。つまり, (選手にとって)「私の責任じゃないですよ」ということです。

 もし主催者に責任感があるのなら, 交換採点をやめる(全種目主催者側が採点する=採点の責任はすべて主催者が被る)か, 数字のルールは選手に一任する(選手がバツと思ったらバツ, マルと思ったらマル)か, いずれかです。その際, 乗算だけは運営側で採点しているわけですが, 1 種目だけ温度感が異なることもいけませんから, 選手の視点に立った採点(=全珠連独自ルールによる判断はやめる)を心がけていただなかなくてはなりません。或いは乗算も選手に任せ, 全種目同じ温度感で採点を行うべきです。

 全珠連主催の全日本珠算選手権大会のように, ある一定以上の得点の答案のみ主催者が再点検する, という方法もあるのではないでしょうか。マルにするにしろ, バツにするにしろ, 同一基準でやっていただかないと公平な大会にはなりません。


(3) 講評で「ご迷惑をかけた」と言うべきではない。


 これは厳しい指摘かも知れません。しかし, 私がもっとも違和感を感じた発言がこれなのです。

 もちろん, 運営側が責任を感じたからこそ出た発言ではあるでしょう。

 であれば, 「責任を感じますので, やりなおします」となるべきです。責任を感じるような状況の下行われた大会が, 正式な記録として残るべきではありません。

 きちんと「上」の者が判断して今回のような結果になった以上, その一部始終には自信を持っていただかないと大会そのものが成り立たないのではないでしょうか。つまり「今回の判断は間違いなかった!」と胸を張って言っていただかないと, 今回の事例に該当した可哀想な選手「以外」の選手にとっても, 何だか胸に何かひっかかるものが残る結果となります。


 以上, 筆者の雑感, 考え方でした。皆さんはどう感じますでしょうか。

 主催者からすると, 毎年(全珠連としての)年度初めのお祭り気分な大会なのかもしれませんが, 選手にとってはどの大会も真剣そのもの。こういった主催者側の「姿勢」一つで, 参加者が増えたり減ったりするように思います。事実, 参加料も掛かることから, 特に社会人は大会の種類(面白さや難易度など)を選んで参加しているのが現状です。どうも参加者が少ないな……と思われる大会があったなら, そこには何らかの原因があるはずです。是非ともその辺りも研究され, 1 つ 1 つの大会が「参加して良かった!」と思われる大会になってもらうと良いな, と考えています。

 今回の大会は, 残念ながら私にとっても非常に後味の悪い大会となりました。